2003.4.25作成

 「三角点写真館」で扱っている「基準点」の「高さ(標高)」は、いうまでもなく日本水準原点をもとにしています。「それでは水準原点の高さはどこから持ってきたのか」というと、実は東京湾平均海面という値から計算しています。つまり水準原点のレファレンスが東京湾の平均海面なのですが、この「平均海面」もまた変動しているため、長期にわたっていろいろな方法で観測した値から一番確からしい値を決めています。 その「いろいろな方法」の一つに、河口や海岸で水位面の高さを長年観測して平均する・・・古くは霊岸島の水位観測にはじまり、その後も明治27年油壺での観測開始から綿々と続いてきた「潮位観測」があります。ここまでは、おさらい。

 潮位観測は測量以外にも様々な目的のもとに、国土地理院だけでなく海上保安庁や気象庁、地方自治体の港湾当局なども実施していて、全国にたくさんの観測施設があり、呼び名も「潮位観測/験潮場(国土地理院)」「検潮所(気象庁)」「潮汐観測/験潮所(海保)」などばらばらです。 それぞれ、潮流を監視し航路の安全確保、高波や津波の観測、地球温暖化による海面の上昇監視、地殻変動の観測による地震の予測、そんなことに役立っています。目的は異なっても観測の方法は似通っていて、あらかじめ標高の決まった所(固定点)からの海面の高さの変動を、何らかの方法で検知するのです。詳しくは下のリンクをたどってみてください。

 ここでは「験潮場」と代表して呼びますが、潮位観測施設とその付属(取付)水準点を紹介していきたいと思います。観測施設や潮位儀の写真は見かけますが、三角点写真館では付属水準点まで写真を載せますので、標石マニアの方は写真をお寄せください。

 お近くの験潮場情報はこちらでどうぞ。

 国土地理院 潮位観測のページ  潮験場の場所がわかります。陸地測量部時代のデータもみることができます。明治期からの験潮儀の写真も載っています。

 国土地理院 基準点成果閲覧   国土地理院か、旧陸地測量部の設置した験潮場は標高を決めるため近くに付属水準点を持っていて、ここで点の記を見ることができます。

 海上保安庁海洋情報部       リアルタイムで潮汐観測の情報を提供。またリンクから各管区の海洋情報部をたどると、管轄の験潮所がわかります。

                      (例)第三管区海洋情報部管内験潮所

 気象庁 潮位表掲載地点一覧   全国の気象庁管轄検潮所の観測データを提供。 (気象庁トップページからは「海洋の情報」−「潮位」を見てください)

                      各管区気象台では、それぞれの管轄検潮所を紹介しています。 

                      (例)函館海洋気象台  日本で最初に気象観測をはじめた観測所。  検潮所の紹介 検潮儀など詳しい解説あり。

 海洋昇降検知センター       各行政機関の横断的な組織で、地殻変動監視に適した験潮場を「登録験潮場」として情報提供をしています。

                      このホームページでも明石、神戸、油壺の調査に利用させていただきました。

能書きはこのくらいで。

各地の験潮場(験潮所、検潮所)を見る