相模野基線訪問記

1998年4月5日

  相模野基線について・・・ 基線近くにお住まいの石田さんのホームページもごらんください。 

 

 相模野基線は日本で最初の基線です。史跡的意味があるので訪れる人も多く、よく整備されています。 ただ、都会の街中にあるので、地形図だけではわかりにくいかも知れません。
 ある春の午後、横浜の長津田から基線にそって鳶尾山まで回りました。

基線とは(ごくかんたんな説明)

 三角測量の初めには、できるだけ長くまっすぐな線から精密な正三角形をつくりだす作業が必要です。 この線を、なるべく平坦な所に大きく精密にしつらえたのが基線です。
 基線は誤差を少なくするため、全国に14カ所設けられています。「線」といっても、実際には 線上に2つか3つの三角点をおいて、点つなぎの要領で構成されています。


長津田

 横浜インター登り車線側のそばに「高尾山」という、100mちょっとの丘があります。車で坂をつめ、 畑を見ながらわずかに歩くと丘のてっぺんに小さなお社があり、三角点が町並みを見下ろしています。 高速のそばで何度も通っているのに、こんな見晴らしのいい(残念ながら静かではない)場所があるなんて はじめて知りました。横浜インターで降りることがあったら寄ってみてください。冬なら丹沢の山並みが きれいでしょう。


座間(基線南端)

 このあたりは渋滞のメッカで、桜は満開だし行楽日和で心配でしたが、予想に反して比較的空いています。 問題は三角点に近づいてからで、中でもこの基線南端は「人の家の敷地」にあるとのこと。しかも、病院の階段脇。 「何病院だったかなあ」「このカーブをまがったあたりで・・・」地図と滝沢さんの記憶が頼りです。
病院は、道から少しひっこんでいました。たしかに家の庭で柵があります。もちろん昔は一帯が原っぱだったそうです。

基線中間点

次のポイントは、小田急相模原駅のすぐ近くです。観賞の際は、軍手を用意しましょう。
水路に沿って桜並木の遊歩道があり、歩いていくと案内板が立っています。「基線まで20m」とか書いて あるので、その方向に道路を50mくらい歩くと突然道路に緑色のふたがありますので、思いっきりふたを持ち上げて 下さい。時々車が通りますので気をつけて。
 ほら、ありました。泥だらけですね。用意した軍手をはめて、きれいにしてあげましょう。

下溝(基線北端)

 基線最後のポイントは、廃車置き場のすみっこでした。北里大学病院の近くです。このあたり、バス停が 「ろの原」「はの原」となっています。「はの原」を目印に、麻溝中学の方へ向かうと廃車置場があります。 今では地元の教育委員会が立てた説明板もあり、少々殺風景ながらきちんと整備されています。

鳶尾山

 下溝からは、相模川、中津川を渡って丹沢山麓に向かいます。鳶尾山の三角点は、数年前に山頂から 北側の小学校の校庭に移されました。さらに標石も新しいものになっています。
 休日でしたので、校庭解放で遊びに来ている子供達のほかは隣の幼稚園も閉まっていて静かでした。

吉岡村

 帰り途中で立ち寄った、住宅地の歩道にある三角点(2等)。一帯は小高い丘の上。今でもこの先で 藤沢方面が少しひらけています。海老名市や綾瀬市のこのあたりは国分寺や早川城址など遺跡も多く残っていて、 野鳥の宝庫でもあります。夕方近くなり、つばめが低く飛び交っていました。
 明治に測量が実際された頃を思わせるのどかな風景あり、町中の商店街で買い物がてらの散策もできます。 歩いて全部回るのは大変ですが、興味をもたれたら、そして機会があったら一つでもぜひ訪ねてみて下さい。 有意義な一日になることでしょう。

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