2000年5月作成 2002年5月3日 2003年11月21日写真を追加
三角点とは、測量の際位置決めに使用する「しるし」の一種です。測量の教科書などを見るといろいろ定義されていますが、世に言う「1等三角点」は、三角点のなかでも国家が設営した、他の測量の基準となるものです。
この「三角点写真館」では、広く世にある測量の基準点なら何でも集めていますが(三角点と名が付けば何でも集めている、とも言える)主役はやはり1等三角点をはじめとする、国家基準点としての「三角点」です。これは「測量法・測量法施行規則第1条」でその形や設営方法が次のように決まっています。
種類
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用途 |
形状、設置方法
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例
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1等三角点標石
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日本経緯度原点(東京都港区)をもとに、三角測量によって地球上での位置を確定するため設置された。精度によって等級が分かれている。1等三角点は明治初期から設置され、現在の地形図作成の礎となった。 |
地上部分の標石寸法 巾・奥行18cm 高さ21cm もし地上部分が露出等でなくなっても位置がわかるよう上方盤石の30センチ下に下方盤石を埋め込んでいる。 |
例・赤石岳 なお明治期の三角点には、デザイン・大きさ等が左の規格に合致しないものもある。このホームページでもとりあげていますので探してみてください。 |
2〜4等三角点標石
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地上部分の標石寸法 2・3等三角点 巾・奥行15cm 高さ18cm 4等三角点 巾・奥行12cm 高さ15cm 地中に下方盤石はない。 |
側面に「地理院」「基本」 と彫られた最近の三角点 「三角点」の文字も新書体 4等の場合はこのほかに標識番号が彫られている 例・埼玉県 鼻曲山付近の点名「中在家」
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1〜4等三角点金属標
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「一等」の「一」に必要に応じ横線を刻んで「二」「三」とするらしい。4等三角点のみ「基本」の下に標識番号を記載。 金属標の寸法は三角点、水準点などの別なくすべて直径8センチ。 微妙にデザインが違う場合あり。 |
写真撮影 池澤重幸氏 |
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基線とは、最初に三角点の位置決めに使われた大きな三角形の1辺。明治初期、全国の1等三角点設置にあたり手始めに原点から関東地方のいくつかの三角点を結び大三角測量を実施。それに先駆け、現在の相模原市近郊で初めて基線測量が行われた。 基線の種類により、菱形基線測点など数種類ある。 |
測量法の「基線標石」は六角形で測定用の点針というのがついている。右の写真のように、一般には一等三角点または四等三角点扱い。 |
相模野基線中間点(4等三角点と同じ?) |
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1〜3等水準点
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標高(東京湾平均海面からの垂直方向の高さ)をはかるための基準点。 |
標石の場合地上部分の標石寸法 1等水準点 巾・奥行21cm 高さ24cm 1等水準点交差点 巾・奥行25cm 高さ26cm 2・3等水準点 巾・奥行15cm 高さ19cm |
金属標もある。三角点に似ているが標識番号が刻まれている。 京都市内215-1 写真 上西勝也氏 このほか、基準水準点というのもある。 国会議事堂近くの憲政記念館前庭に水準原点がある。 |
1(2)等多角点標石
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多角測量は、点つなぎのように測点(節点)をつないでその距離と角をはかり、それぞれの位置を決定していく方法。 隣り合う2点間の見通しがあればよく、局地的な測量に向いている。 必要に応じて多角点が設置されている。また、「多角補点」というプラスチックの杭が打ち込まれている場合もある。 |
サイズは4等三角点に同じ。 |
二等多角点5339-53-2501 荒幡の富士(埼玉県所沢市)にて(撮影:松村) |
1(2)等多角点金属標
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「基本」の下に標識番号を記載 |
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図根点標石
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地形図作成につき局地的に詳しい測量成果を得るため補助的に設置される。点の記では図根点でも現場では4等三角点の標石が設置されている場合がある。 |
サイズは4等三角点に同じ。 |
川合 5339-30-1501 |
天測点
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天文測量のため、昭和30年代に設置された。当時の機関「地理調査所」の名称が鋳られている。 天文測量とは、ある観測地点における子午線を通過する天体の観測時刻と、その天体がグリニッジ子午線を通過する時刻の差(=天文緯度)、及び北極星高度の観測(天文経度)から、地球上の位置を割り出すための観測方法。人工衛星などによる測位が不可能だった時代に利用された。 なお、天測点と対になるよう子午線標というのも設置されている。天測点は一等三角点と同じ場所ということが多いが子午線標はとんでもないところにある。 国土地理院では、昭和22年から30年代にかけて各地に天測点を設置したが、測量方法の変更により現在は使用されていない。廃棄の方向にあるとのこと。 |
機材設置のため上部が平らで、金属の「指標」が埋め込まれている(上図左側)。 |
埼玉・堂平山にて |
子午線標
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天測点の項参照。 | ![]() |
堂平山子午線標 名前とは全然違う場所にある。 埼玉・奥武蔵 三等三角点正丸付近にて |
電子基準点
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GPS衛星による地球上での位置決めに用いる次世代の基準点。当初は地震予知(地殻変動の検出)が主目的の1つであったためか、太平洋側に多い。最近の2万5千分の1地図には電子基準点の位置も標記されている。 |
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世田谷区 日大グランドにて 「この測量標を移転またはき損すると...の文言は、この付属標では標識番号の下に彫られている。 |
VLBI観測点 | 日本国内の5カ所でVLBIというアンテナで2つ以上の観測点で宇宙の彼方からの電波をとらえて、到達時差をはかることにより非常に精密な位置測定をしている。その観測点を示すもの。 |
調査中
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つくば市 国土地理院本院にて 写真提供 長町常正氏 |
図版・法文は「現行法規総覧 第15編」より引用
ここで注意。 1等三角点は保存状態がよいものが多く、あまり間違えたり見つからないということはありませんが、2等以下になると「点の記」で調べて行ってもみつからないとか、ほぼ同じ場所に設置されていた違う基準点を撮影してあとでがっかりすることがあります。
見分け方としては文字(何等三角点、国地院、地理調などと刻まれています)、大きさ、角を丸めていない(国家基準点では、四隅をわざと丸めたデザインは基準水準点以外ありません)、周囲に「国土地理院」などと書いた木の杭がある、といった点をチェックします。「一等」の文字は最近では左から右に彫られていますし、「三角点」も新字体になっています。
地理調・・・国土地理院の前身、地理調査所の略称
実際の設営にあたっては、場所や設置時期によってばらつきがあります。柱石の回りにおかれる保護石がない、「何等三角点」の文字が南を向くよう規定されているがあらぬ方を見ている、というのはよくあることです。永久標識といって繰り返し使用する物ですから、細かい規定で全国統一をはかったものでしょうが、現実には設営時の地盤の状況などで決まり通りにいかないこともあるでしょう。
(参考)測量法に規定する測量と基準点の関係
測量法
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基本測量 |
国土地理院が行う、他の測量の基本となる測量 これにより設置した基準点を「国家基準点」といい、三角点や水準点などがある。 明治初期に設置された三角点などをそのまま利用しているものも多い。歴史的価値がでてくるかも?! |
公共測量 | 基本測量以外の国・地方公共団体が行う測量で高精度・広範囲のもの。必要に応じ「公共基準点」を設置 | |
その他 | 公共測量と同レベルの高精度・広範囲で民間が行う(公の費用を使わない) |
三角点を探す醍醐味は、その設置場所そのものの魅力(山、アマチュア無線の移動運用など)に寄るところも大きいですが、上記の測量法にあてはまらない「変な三角点」を見つける楽しみもあります。地方公共団体の設営した「公共基準点」、電力会社や恩賜林などの境界標、などなど。中には御料局三角点、原三角点、主三角点、不号水準点といった明治の測量黎明期に設置された歴史的遺産?も残っています。
一部コレクションがありますので、ごらん下さい。 変な三角点